触れた手は女のものとは思えぬほどにごつりとしていた。
 固い胼胝、槍を操るために節くれ変形した指先。己の手と比べて格段に細い骨しか持たぬであろうに、その手は幾度も血を被った挙句己と似通ったものへ、その美しさを歪めていった。
 幾多の刀傷が、そこだけ色の違う皮膚としてその肌を彩る。それでも、いっそ哀れなことに、彼女の手は己とは明らかに違うのだった。
 幸村は、政宗より少し高いぬくもりを宿す両手でもって彼の片手を包み込む。
 六爪を獲物とする政宗の手は普通の男よりも大きい。それを差し引いても、幸村の手は小さかった。
 小さな女の手であった。

 「政宗殿、約束して下され」

 すりあわされていた固い手のひらが、念を込めるように政宗の手を握りこむ。しかし悲しいかな、幸村の手が政宗のそれを覆い隠すには両手でもってもまだ足りない。
 それでも幸村は、その小さな手にためらいもなく槍を取るのだ。

 「手加減は無用ですぞ」

 ちゃんと殺し合いましょう。
 幸村は、満たされるような微笑さえ浮かべて言った。
 締め切った戸の隙間から零れおちるように光が射し込み、愛しげに手を取る幸村の栗毛を虎の鬣のように輝かせ、






 同盟破棄の朝が来る。

 「葬送華」の風月さんの日記絵から妄想。
 このゆっきの箍が外れた微笑をご覧くださいまし…!
 二人とも寝巻きなのは仕様だそうです。やっぱこれは同衾したとみるべきですよねそうですよn(ry
 垂涎絵を妙な具合に解釈してすみませんでしたorz あっやめて石投げないで反省してるから…!
 勝手な妄想文を快く許して下さり、ありがとうございました! 合作ですねヒュゥ!(反省してない

 090322 J