設定:幼少戦国政宗×幸村(♀)
 苦手な方は全力回避お願いします!
 あのでもニキさんの幼少ダテサナのかわいさは萌死必至です!
 幼少幸村=めご



 梵天丸はめごが一等好きだった。
 優しくて温かくて、たいようのようなその笑顔も、体温も、何もかも。ずっとずっと傍にあれば良いのに、と思う程。
 焦がれる、という感情をまだ梵天丸は知らなかったけれど、このままきょうだいのように共にあれたらどれだけ幸せなことか。

 「梵天丸様?」

 疑いようの無い澄んだ双眸がそこにあり、梵天丸は思わず息を詰めた。
 父から聞かされた。めごは、甲斐へ戻らねばならない、と。

 傍に在れるだけで、幸せだった。それが、なくなるのか。
 例えめごが甲斐へ戻らなくとも、梵天丸とていつまでも京に留まる訳にはいかぬ。
 梵天丸は知らず、くしゃり、と顔を歪めた。
 嫌だ、嫌だ、嫌だ、と口に出したなら、と思うけれど、悲しいかな、梵天丸は我が侭を欠片も言えぬような子供なのだった。

 どこか痛いの、といつものように明るい声音で童女は問う。あぁ、知らないのだ、と梵天丸は涙を堪える為に唇を柔く噛んだ。

 きっと夕刻になって屋敷に戻ったそのときに、家人から出立を聞かされるのだろう。
 そしてきっと顔をくしゃくしゃにして泣くのだろう。

 その泣き腫らした眼を見られないように翌朝会わずに発つつもりなのだ――梵天丸にはそれがわかる。
 そう思えば矢も盾も堪らず、梵天丸はめごの肩をぎゅ、と抱き締めていた。  幼い抱擁は力の加減など知らない。耳元で驚いたように高くなる呼吸に、胸から伝わる緩やかに拍を打つ生命の源に、梵天丸は己の気持ちが間違いであることにゆるゆると気が付いた。

 空に自然に眼を向ければ、もう春は色褪せ夏の模様に染まっている。
 嗚呼、と肩口に顔を伏せる。

 きょうだい、などではなかった。もっと近しく、ある意味重ならず、そしてもっと強烈に繋がる存在になりたかったのだ、と。
 腕の力を緩め、梵天丸は項垂れた首を少しだけ上げた。
 無垢を鏡に映したような赤銅色の眼が、どうしたのか、と問うている。
 梵天丸はそれに言葉をもって答えられない。言葉にするには彼は幼く臆病過ぎた。
 ぐるぐると渦を巻く見たこともない色をした澄んだ感情に後押しされて、梵天丸は首を傾け、その頬に拙い千の思いを込めた口付けを送った。




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 か、かわかわかわかわかわ……!!(言語化放棄
 あれですね、胸がきゅきゅーんとなって鼻から血がつつーっと。
 彼らが後に戦場で再会するのだと思うとそれだけで呼吸困難になりそうです。幼少ダテサナ万歳。
 ニキさん、ぜひぜひ自重ぶっちぎって萌の宣教師になってくださいませ…どこまでも付いていきます…!
 可愛すぎて兵器になった(笑)萌えをありがとうございました!
 081211 J